「凧師匠」がでっかい犬に引っ張られる!

みなさま、お仕事お疲れさまです。

 

 期末で忙しく、釣り場の真横にお住まいの方以外は、悶々とされているのでは? それでも、ちょこっと空いた時間に、何か野外で楽しめることはないか、お探しではないでしょうか……。唐突ですが、釣り以外でいい手を見つけましたので、おつきあいを。「凧師匠」との出会いが、その発端です。

 

 少年時代には、ゲイラカイトや和凧、手作りのグニャグニャ凧なんかを夢中になって揚げたものの、すっかりその楽しみから遠ざかっていました。しかし凧師匠との出会いで、その状況は一変。大人の凧揚げは、場合によっては、風との格闘技。風にあおられた巨大な凧にグイグイ引っ張られていると、釣り同様、何かが覚醒します。自分が自然とつながっていることをダイレクトに思い出させてくれるというか……。

 

 凧師匠と最初に出会ったのは近所の田んぼ。編集作業に煮詰まったらよく散歩に行く場所です。ときたまその田んぼで洋風の凧が揚がっているのを遠くから見かけていましたが、なかなかタイミングが合わず、どんな方が揚げているかは長らく謎でした。ようやく現場に遭遇した際、とりあえずチラ見。すると、さりげなくアウトドア系の格好をした、やや御年配のオシャレな感じの方でした。どうも手袋は釣り用みたい。サングラスのロゴが「Sight Master」なのを見て、「釣りの人や!」と確信。思わず話しかけるとドンピシャで、ルアーもフライも船釣りもお好きなことが発覚。こんな偶然もあんねんやーと嬉しくなりました。


凧師匠の洋風凧については、その大きさにビビってしまいます。風が強い日に、大きな凧の下に動物型の立体的な吹き流しも付けて揚げたりしたら、もう、スンゴイ世界です! 凧師匠は経験値が高いものの、それでも時には引っ張られてヨロけちゃいます。

 

  欧米の凧には、各所でよく見かける「スポーツカイト」だけではなく、「空に浮かぶポップなオブジェ」を楽しむというカテゴリーがあるみたいです。師匠のお 好みは後者のようで、見かける度に違う型を揚げています。近づいて手元を見ると、糸の太さが凄い。150とか300ポンドの糸は当たり前で、凧の大きさに より時には500ポンド、場合により1,000ポンド! 以上の糸も使用するらしいです。糸巻きは、野外で使う電線用リールみたいな、シンプルなやつ。そ んなんで大きなやつを揚げていて強風が吹こうものなら……。そんなごっつい話ばかりでもなく、小さいカワイイタイプも存在します。そよ風の中、細い糸での んびり揚げるのも楽しく、こちらはタナゴ釣りがお好きな方向けかも知れません。糸尻を柵に結びつけても勝手に揚がり続ける安定感のよいタイプもあれば、 じゃじゃ馬な性格のものも。じゃじゃ馬タイプの場合は「風の強さと向きが秒刻みでまるで生きているかのようにコロコロと変わる」ことを実感でき、油断して いたら凧が落ちて地面に激突するので、一瞬も気を抜けません。大きいの小さいの、直線的なデザインと丸いデザイン等、とにかくいろいろあるようです。

 

  日本では正月に盛んな凧揚げですが、アジアを旅して景勝地などに行くと、正月に限らずレンタルの凧屋があり、カップル同士が手を添え合い、のんびり凧を揚 げていたりします。嬉し恥ずかし、キャーッという感じです。凧師匠の凧はデザインが欧米風な場合が多いので、そちらの国でも愛好されているのでしょう。型 の多さを見ると、案外盛んなのかもしれません。おかげ様で、新しい世界と出会えたのでした。もちろん、凧師匠も時々手づくりの凧を揚げておられます。自作 してみるのも、楽しいでしょう。キレイな夕日が差してきた時間帯に、空を見上げつつ風とつながっておられる凧師匠との遭遇を重ねる内に、すっかりうらやま しくなってしまったのでした。


それでは、また!